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旅のエッセー
ヒマラヤ山脈を越えて〜標高4300メートルで食べたそうめんの味
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ヒマラヤの連山
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 その年の夏休みの海外旅行は第一希望がテレビのコマーシャルによく出てくるエーゲ海のサントリーニ島での宿泊を含むギリシャ周遊、第二希望が南北アイルランドの一周であった。スケジュール、内容ともぴったりの企画を組んでいるU旅行社に電話で問い合わせたら若い女性が出て、ギリシャは催行人員15名のところ申し込みは7名、アイルランドは更に少なく4名とのこと。「このぶんではちょっと催行は難しいでしょうね」とつれない返答。「替わりにこんなのはどうですか」と勧められたのはチベットのラサからネパールのカトマンズまでヒマラヤ山脈のふもとを縦走するというコース。私の希望とはまるで方向が違うものの「このコースならもう催行が決定しています。それに景色がとっても素晴らしいですよ」と言う。縦走は歩きが入るのですかと問えば、「全行程4WDですから楽ですよ、エベレストのベースキャンプまで行ってエベレストを間近に見ることが出来ますよ」と殺し文句のように誘い掛ける。話し振りからご当人はこのコースをもう体験済みのようだ。女性が行けるコースならそうハードでもなさそうだ。それに、私にとってはラサもカトマンズもいずれは行ってみたい候補地の一つでもあるし、その両方を一度で訪問できるというのは魅力であった。更に、ラサ到着までにバンコックと成都に各一泊するというのもおまけとして悪くない。ギリシャとアイルランド両コースの催行不成立が決定した時点でこのヒマラヤ縦走コースを申し込んだ。しかし、このツアーは旅行社の女性が言うように楽なものではなかった。

  出発の3日ほど前に同行する女性添乗員から電話でいろいろと注意事項の説明があった。標高5220mまで登るので、何といっても高山病に対する備えが重要である。それに寒さに対する防寒着の携行等。最後に「旅行保険は入っていますか」というから「JCBのゴールドカードについている保険でいつも間に合わせていますから」と返答すると「それではちょっと不安ですよ」と言う。「どうしてですか」と問えば「万一の場合、ヘリコプターをチャーターするだけで数百万円はかかりますから、その辺のところをチェックしておいた方がいいですよ」とのこと。なるほど、なるほど。翌日早速病気治療の保険に限定して追加加入手続きをとったが、なんとなく今度の旅の容易ならざるものが感じられてきた。

  出発日の8月3日、成田空港に集まった参加者は総員12名。最年少28歳の男性から最年長78歳の女性まで年齢は様々。男性8名に女性4名と流石にこのツアーばかりは男性のほうが多い。幼稚園の先生やリタイア組みを含め、学校の先生が多いのは他のツアーと変わらない。京都から来た生物の先生がネオンアーチストの安彦氏と高校だか中学だかで同窓だったと聞いてびっくり、世の中は狭い。

 だんだんと分かってきたことだが、このツアーの参加者はみな秘境、辺境のチャレンジャーばかりなのだ。北極と南極の両方を制覇したと言う若者、オーロラを見に2回もアラスカに行ってきたと言う独身女性、ガダフィ大佐の国リビアが面白かったと言う人etc。78歳のおばあさんなど2ヶ月に1回の割で海外を歩き回っていると言うからすごい。それも、連れ合いは家で酒を飲んでいる方がいいとかでもっぱら一人旅。チベットもネパールももう既に体験済みという人が何人かいて、ほとんどの参加者が今回の最大の目的をエベレストを間近に見ることに置いているようなのだ。エベレストは付録の付録程度に考えていた私と話が合わないはずである。

  実際エベレストの山容をじかに見ることは容易ではないようだ。この山の登頂ルートはネパール側とチベット側の両ルートあり、山の全景が見えるところまで行くにもネパールからでは数日間のトレッキングがどうしても必要で、チベット側からなら夏場のみ車で行くことが可能。それが今回のベースキャンプ地だが、ラサから車で最低3日の日程を要する。秘境マニアである彼らの熱い思いもだんだんと分かってきた。

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街並みもサインも中国風
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  旅の全行程は15日間。三日目にやっとラサに到着したわれわれはそこで4泊した。標高は既に3600m、私が今までに体験した最高の標高はクスコの3360mだが、既にそれを越している。ゆったりした滞在の目的はここでゆっくりと高度に順応させることにあったが、このツアーのもう一つの目玉でもある、8月8日にこの地で催される有名なお祭り、「雪頓祭」を見物することもあった。

  ラサの市街は意外なほど整備されていて、大きな目抜き通り沿いにビルや店舗がビッシリ並ぶ。中国に統治されていることもあってか街並みは中国に似ていてサインも派手で中国風。(写真A)ポタラ宮殿の偉容は写真で見る通りで感激した。ただし、写真では宮殿の下の山際に沿って建物の建ち並ぶ都市が広がっているように感じられたが、実際には宮殿の手前は大きな道路を隔てて広場となっているだけ。つまり、実際にこの目で見る宮殿のスケールも大きいが、写真ではもっと、とてつもなく大きく感じさせられた。それは建築の外観が台形状に、上層階に行くに従ってすぼまってデザインされているからで、この形体はチベットの全ての建築物に共通する大きな特徴であり、建築美の要素ともなっている。
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ポタラ宮全景
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